『手紙』
2013-08-31 Sat 11:32
ジョージはある建物の近くに来ると窓から覗き込んだ。後ろ姿では
あったが、一人の同じ位の歳の男の子が机に向かって何か書いてい
た。
彼がコンコンと窓を叩くと、その男の子は振り向いて一瞬嬉しそ
うな表情をしてすぐに真面目な顔になった。
そして家の様子をうかがうように静かに歩いて来て窓を開けた。
「アラン、何してるの。約束の時間だよ。」
「ごめーん、ジョージ。実は、家庭教師が来る事になってさ・・・
勉強しなくちゃいけないだ。」
「勉強?何で?昨日はそんな事言ってなかったじゃないか。」
「うん・・・」
アランは何だか言い難そうにもじもじ指を動かした。
「・・・お母さんがいつまでも遊んでばかりいるとろくな人間にな
れないからって。それで先生を呼んで勉強しろって。」
ジョージは明らかに不機嫌な顔だ。アランはそれを感じ取ってそっ
と彼を見つめた。
「だから・・ごめんね。今日は遊べなくなったんだ。・・・今度は
遊ぼう。だからー」
しかしジョージは踵を返して行ってしまった。
アランは彼の後ろ姿が見えなくなるまで寂しそうに見つめた。

大きな木のある広い草原に来るとジョージは叫んだ。
「何だよ、アランのバカ!もう知らない!」
そして石を蹴り、それが木の幹に当たって跳ね返って来ると、彼は
それをキャッチした。
ジョージは今度は木の葉に当て、それを落とした。彼はそれを見て
次々と石を投げては葉を落として行った。正確には枝ごと折って落
としていた。
彼は時間の経つのも忘れて熱中していたが、ふいに背後で拍手が聞
こえ、声がした。
「お見事だね。」
「・・・?」
ジョージは振り返った。一人の青年が塀に腰掛けている。
「やあ、こんにちは、おチビちゃん。」
「・・・・・。」
ジョージはむっとした。
「何してんだい、一人で。」
「・・・別に。」
「もう一人の子はいないのかい?おチビちゃん一人じゃ危ないよ。」
「チビじゃないよ!」
「チビじゃんか。」
「僕はジョージってんだ、覚えとけ!」
ジョージは駆け出して行ってしまった。青年はため息をついて立ち
上がった。
「やれやれ。」

露天の並ぶ通りに出たジョージはプンプン怒りながら歩いた。
「ちぇっ、何だい、変なヤツ。」
そんな彼は店先にならぶ、色とりどりのフルーツを眺めた。赤や黄、
緑とどれも新鮮で美味しそうな香りが漂っていた。そして眩しい太
陽の光を浴び、キラキラ輝いていた。
なのでジョージは見ているうちに食べたくなった。
「・・お腹空いたな。」
ジョージは我慢できず、一つ掴んで齧った。
それはとても瑞々しく、ちょうど喉が渇いていたので彼は店の物だ
というのを忘れて食べ始めてしまった。
店の人がそれを見逃すわけはない。太った男性は店先で商品を食べ
ている子供を見て飛び出して来た。
「こらっ!この糞ガキ!!」
ジョージはびっくりして食べかけのフルーツを投げ出し、逃げよう
としたが、男性に襟足を掴まれてしまった。
「逃がさん!勝手にーあっ、お前は、ジュゼッペとこのガキじゃね
えか。・・・・ふふーん、親が悪けりゃ子も悪いってまさしくこの
事だな。」
「・・・・・・!」
ジョージは男性の足を思いっきり踏んづけた。
「いいっ!」
「パパの悪口を言うな!」
その隙に逃げようとしたジョージだが、掴まれて強く叩かれた。
「うわあっ」
ジョージは地面に倒れ、男性は更に彼を掴んだ。しかし他の店の人
が止めに入った。
「まあまあ、トム。相手は子供だ、乱暴はよせ。」
「うるさいっ。知らんのか?こいつの親の事を。悪い組織に入って
良からぬ事をしているという噂だ。きっとこのガキも今にどんでも
ない事をやらかすぞ。」 
トムと呼ばれた男性はジョージを見下ろした。
「このガキ、突き出してやる。」
すると、石が飛んで来て、男性の腕にヒットした。
「いてっ」
男性はジョージを離し、と同時に例の青年が掛けて来て、ジョージ
の腕を持って立たせた。
「子供相手に酷いな。お前こそ悪人だ。・・・さ、おいで。」
青年はジョージと共に駆け出した。店の主人は追いかけようとして
立ち止まった。
「・・・あ、あれはー」
青年を見た男性は何も言えなくなっていた。

青年は誰も追ってこない事を知ると、ゆっくりと歩き出した。
そして木陰に座らせた。
「大丈夫かい?それにしても偉いね、泣かないで。」
「・・・・慣れてる。」
「・・・・・・。」
青年はちょっと悲しそうな顔をしたが、すぐに微笑んだ。
「良かったら、お兄ちゃんが遊んであげるよ、おチビちゃん。」
「・・・ジョージだってば!」
青年は笑った。

それから彼らは時間が経つのも忘れ、ずっと遊んでいた。やがて夕
方になり、彼らは別れた。
家に帰ったジョージは、顔の痣について母親に聞かれたが、転んだ
とウソを言ってごまかした。
こんなに優しい親が悪い事しているわけない。
ジョージは親の噂など気にしないようにしていた。

そんなある日の事。青年はジョージをじっと見つめ、こう話した。
「今度、引っ越す事になったんだ。」
「・・・えっ」
「なのでおチビちゃんともお別れだ。元気でな。楽しかったよ。」
「・・・・・・」
「悲しくなるから、もう行くね。」
彼がそう言って背中を向けると、ジョージは彼に抱きついた。
「やだっ!行かないで!」
そして泣き出した。
「・・・・」
青年はジョージに向き直って頭を撫でた。
そして彼らはしばらくそうしていた。


数日後、ジョージ宛に1通の手紙が届いた。
彼は開けて中を読んだ。
『おチビちゃん、元気かい?』
「・・・・チビじゃないってば!」
『僕はローマに来ています。言い忘れたけど、僕の父は外交官で
こうしてしょっちゅう引っ越してばかりいるんだ。だから、友達
も出来なくていつも寂しかった。でも、おチビちゃんに会えたか
ら嬉しかった。楽しかったよ。いい子にしているかい?お父さん
とお母さんに心配掛けちゃダメだよ。
じゃあね。また手紙書くよ。
さようなら。

              おチビのジョージへ     』

「・・・なーんだ、分かってんじゃない。」
ジョージは手紙を何度も読んで、窓から外を眺めた。
彼と遊んだ事を思い出してちょっと寂しくなった。

「ご飯よー」
下から母親の声がした。
「はーい」
ジョージは手紙をしまってベッドから降りると、部屋を出てトン
トン、と階段を駆け下りて行った。


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おやすみ
2013-08-30 Fri 18:02



           「何を見ているの?」
           「下の世界だよ。でも、あちこち壊れてて泣いている人が
            いるんだ。どうしたのかな。」
           「悪い人たちが壊してしまったの。でも、彼らはいなくなっ
            て、やっと終わったのよ。」
           「どうしてその人たちはいなくなったの?」
           「やっつけてくれた人たちがいたのよ。でも、悪い人たち
            がしようとした事を止めた人は死んでしまったのよ。」
           「そうなの?どうして?」
           「その人は役目を終えたから神様が連れて行ったの。」
           「ふーん。・・・でも良かったね、平和になって。・・・
            ねえ、ママ・・・」
           「そうね。」


           「・・ゆっくりおやすみ、ジョージ。」



            
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もう何度目のお別れだろう・・
2013-08-29 Thu 18:09


105話「地球消滅!0002」
遺言シーン。
何度となく観たシーンですが、今までは何とか持ちこたえて来たけど、今回は観ている時から涙腺が全開で大変でしたワ・・・(今までは後になって思い出して泣くパターン)。
歳を一つ取ったからか、もしや更年期(ってまだです!)・・・いや、きっともうすぐ秋になるのでおセンチになっているためでしょう。センチメンタル・ジャーニー・・じゃなくて(爆)、センチメンタルになっているのか?柄にもなく。

だけど、こんなに落ち着いて仲間にお別れを言えるなんて、ジョーはきっと心からみんなに会えて嬉しかったんでしょう。そしてやっと、最後になって素直になれた。

こんなジョーもいいけど・・・竜の言う”生意気な”彼が好きだったな。

ギャラクターに、せっかくのしんみりとした雰囲気をぶち壊され、怒る健ちゃん。すべての怒りを込め、ぶつけにカッツェの元へ行きます。



羽根手裏剣が歯車を止めるシーンは撮りどころに悩みますが、こんな感じで曲がってしまいます。
でもこれがついには、機械を止める事になる訳で・・・・。カッツェが抜かなくて良かったですワ。

なかなか強靭な羽根手裏剣です(なにしろ人を簡単に殺せるくらいですから)。

平和にはなったけど・・一人いなくなってしまったので何だか安堵と悲しみが入り交じった終焉でした。

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カウントダウン開始
2013-08-28 Wed 17:55


103話「死を賭けたG2号」
自分の余命を知り、カッツェの漏らした”クロスカラコルム”と言う言葉を頼りに、ついに本部を発見したジョー。ギャラクターに囲まれ、健に連絡をしようとしますが、ブレスレットを破壊されてしまう。
バードスタイル最後の姿となりましたが、たとえ素顔になってもジョーは強かった。
でも、相手は大勢、ついに相手のチーフと相打ちとなって倒れ込んでしまいます。

それにしても、羽根手裏剣なんぞバラまくという感じでしたが、百発百中なんて過ごすぎ。
カッツェって一度ジョーの素顔を見ている筈だけど(81話)あの時は変装してたから、ジョージ・浅倉だとは思わなかったのでしょうかねー。



104話「魔のブラックホール大作戦」
最後にはこんな感じで立つ力もなく這いつくばるジョーです。
ギャラクターどもに嫌というほど痛めつけられ、更には変な注射を打たれてもはや気力だけで生きている感じがします。

この前に、投げた羽根手裏剣がカウンター奥へと行って、やがてそれが時限装置を止める事になるなんて本人も知らず・・・。
それは次回の話に。

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謎の病に苦悩するジョーは・・・
2013-08-27 Tue 18:07


101話「狙撃集団ヘビーコブラ」
タイトルからしてジョーが活躍する!と思っているとやっぱりそうでした、というタツノコさんによるジョーファン泣かせのお話。

眩暈と頭痛に悩み、ついに健に出動を止められたジョーですが、彼に持たせたエアガンにちゃっかり小型探知機をしのばせ、付いて来ました。
そしてギャラクターに捕えられた健とジュンを救い、単身ヘビーコブラに立ち向かう。あっけなく倒されるヘビーコブラに拍子抜けですが、ジョーの、俺はまだやれるという意気込みが感じられます。

例の症状が起きなかった彼、自分を試したかったと健に言います。
始めこそ、何故来たのかと問いつめた健ですが、きっとジョーの気持ちが痛いほど分かっていたので、彼の働きに安堵した事でしょう。



102話「逆転!チェックメイトX」
女隊長を追って単身ギャラクターの基地へ乗り込み、バッタバッタとなぎ倒すジョーの姿は鬼気迫るものがあります。
この一連の戦いぶりが凄くかっこよくて思わず見とれてしまいます♪♪(この脚の細さよ・・)
・・・・が。
この後、待ち構えていたカッツェに、メガザイナーで変身を解かれてしまいます。
素顔になってギャラクターに取り囲まれますが、健たちが駆けつけてくれて助かります(カッツェの正体がバレたおまけつき)

最初の方で、もぐりの医者に診てもらう場面がありますが、本人の気付かないうちに病気が進んでいる事を考えると、この時点でちゃんとした病院で診てもらえば良かったのかな・・と思ってしまいます。まあ、すぐにそうなりますけど(判明すると忍者隊の任が解かれてしまう、というのが嫌なんですよね、彼は)。


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神よ・・・・
2013-08-26 Mon 18:02


   ”頼む、1秒、いや、その半分でいい。正常に戻ってくれ・・”

99話「傷だらけのG2号」
マグマへ突入するカプセルに閉じ込められた健たち4人を救うのは、1本の超バードミサイル。
健の発したバードスクランブルを目印に、そこへ撃ち込むよう頼まれたジョーですが、激しい眩暈が彼を襲います。なかなか焦点が合わず、思わずこぼした台詞が上記です。

ジョーは、思うようにいかない自分の身体に念じるように言ってますが、きっと同時に神様にも頼んでいたかも・・(信じていたかどうかは別として)。私はすぐ神様・・とか言ったりするので分かります(爆)

やがてその願いが通じて、一瞬焦点が合った時、彼がボタンを押す。
危ういところでドリルカプセルは止まり、健たちが戻って来ます。



みんながジョーのGPの操縦の腕前についてワイワイやっている中、健はジョーの異変に気付いて不安になります。割れた計器をじっと見つめる健の背中が何とも言えません。

ジョーの秘密をつい喋っちゃうのはいつも健ちゃんですが、彼の異変をすぐに察知するのも健ちゃん。
やっぱりこの2人の間には誰も入り込めない何かがあるのね。

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イタリアーノ
2013-08-26 Mon 12:54


職場に来たら、机上にキャンディが。良く見たら、イタリアものでした。
誰か行ったのかなー。先生ったらいいなあ。
そうそう、スペイン土産のチョコもあったので一緒にパチリ。
私はずっとドイツに行ってベートーベンの生家に行くのが夢でしたが、イタリアも行きたい。イタリアだったらオペラですかね。
音楽を巡る旅がしたいです。
でも一番行きたいのはやっぱりシチリアかな。
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ガッチャマン劇場③におう!?
2013-08-25 Sun 12:03
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       甚平:いっただきま~す♪
       ジュン:ああ~、お腹空いたわね~。


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       甚平:ねー、お姉ちゃん・・・
       ジュン:なあに?改まって。


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       甚平:この前、お姉ちゃん”におう”って言ってたよね。
       ジュン:ああ、ギャラクターの仕業だって話してた時ね。(96話)


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       甚平:あれ、本当はやっちゃったんだ~、えへへ。
       ジュン:・・・・・・・もうっ、バカ!
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『生まれ変わり』
2013-08-24 Sat 11:16
「生まれ変わりって信じるか?」
スナックジュンでコーヒーを飲んでいた健は、ふいに隣にいたジョーに
そう言われて彼を見た。
「生まれ変わり?」
「ああ。」
「どうしたんだ?急に・・・」
「・・こんな事があった。」


それは、ある日のどんよりとした曇り空の午後だった。
レースを終え、普段着に着替えたジョーは、いつもの彼の熱狂的な女性
ファンたちを避けていく途中、女の子と一緒の女性が木の下に立ってい
るのを見た。彼は特に気に留めずに歩き出したが、2人は彼のところへ
近づいて来た。
「あの・・・ジョー・・さんですか?」
「え?はい、そうですが。」
「あの・・サインをいただけますか。・・・実はこの子、貴方のファン
でして。」
ジョーは母親の陰に隠れるようにして自分を見上げている女の子を見て
しゃがんだ。
「名前は?」
「・・・・ジェシカ・・」
「ジェシカか。可愛い名前だね。」
女の子はジョーが近づいたため、恥ずかしそうに赤らめて更に隠れた
が、そうっと彼を覗き込んだ。
ジョーは母親の差し出した色紙に女の子の名前と自分の名前を書くと、
女の子に渡した。
「はい。」
「ありがとう・・・」
しかし、ジョーが立ち上がると同時に急に女の子が激しく咳き込んだ。
「・・・大丈夫かい?」
「・・・すみません・・いつもの発作なんです。今日は久しぶりに外
出したのですが・・」
女の子は近くの病院に入院している患者だった。彼女は重度の呼吸器
系の疾患を患っており、もう長い事入院生活を余儀なくされていた。
しかし今日は気分が良かったので医師の許可を得、夢だったというレ
ースを見に来ていたのだった。
女の子は数いるレーサーの中でもジョーが好きだった。長身で細身の
彼は大抵の女性たちを虜にしてしまう魅力があったが、女の子には彼
の内面の何かを感じ取って好意を寄せているようだった。

ジョーは彼女達に付き添って病院に行った。そしてしばらくすると女
の子の容態は安定し、母親とともに安堵した。

そしてジョーは女の子が気になり、お見舞いに行く事にした。
女の子は彼を見ると喜び、ずっとおしゃべりをし続けた。ジョーは身
体に触るから、と心配したが、女の子はお構いなしだった。
そんな時、ふいに彼女はこう聞いた。
「お兄ちゃんは、生まれ変わりって信じてる?」
「生まれ変わり?」
「うん。私ね、今度生まれ変わったら、健康な身体に生まれて、もう
一度お父さんとお母さんと楽しく暮らすの。もう病気にならないよう
にして、お母さんを悲しませないようにしたいの。」
「・・・そうか。」
「・・お父さんはね、もう天国にいるんだけど、ジェシカはお父さん
のところへ行って、それで2人でお母さんのところへ戻ってくるの。
私ね、死んだら蝶になって、上に行くんだ。その前に、お兄ちゃんの
ところに来るね。そしてお父さんを迎えに行くの。」

女の子は翌日急変し、治療の甲斐なく亡くなってしまった。
泣き崩れる母親を後にし、ジョーは病院の外へ出た。外はあの子と出
会った時と同じようにどんよりとした曇り空だった。
(・・・あの子は今頃父親に遭いに行ったのかな。そう言えば、俺の
ところへ来るって言ってたけど・・・・)
ジョーはふっと笑った。
(俺、信じてるのか?あの事ー)
そんな彼ははっとして目を見張った。
一匹の蝶がひらひらと飛んで来たからだ。
その蝶は彼の周りを飛び回った。まるで別れを惜しむかのように近づ
いては離れ、を繰り返し、触覚を振り、やがて空高く飛び立った。
”お兄ちゃん、それじゃ行って来るね。バイバイ!”
すると、今まで曇っていた空に一筋の光が差し込み、その蝶はまるで
導かれるようにその光を渡って上空へ消えた。


「あの蝶はあの子の化身だったんだ。そして天国へ行って、父親を迎
えに行ったのかもしれない。」
「・・・・へえ・・・そんな事が。不思議な事もあるもんだなあ。」
健は目を閉じた。
「俺たちは・・死んだらどこへ行くんだろうな。」
「さあな・・」健は目を開けた。「でも、もし生まれ変わりってやつ
が本当にあるなら、俺はもう一度親父と空を飛びたい。」
ジョーは、そう言って天井を見上げた健を見た。
「いいじゃねえか。大いに楽しんで来いよ。」
「(笑う)まるでもう決まったような言い方だな。」
ジョーも笑ったが、何も言わずにコーヒーを口にした。
(・・俺はもしかしたら、そう長くないかもしれない。・・・親父と
お袋に会う前に、この世界を、平和になった空を飛んで見てみたい。)
両親に会うのは、ギャラクターを倒してからだ。
元いたところとはいえ、両親は他の家と変わらず自分に多くの愛を与
えてくれた。そんな彼らを殺した奴らが滅びるのを見るまでは、死ぬ
わけにはいかない。それに中途半端で行ってしまったら、両親に申し
訳ない。

「おっと、もうこんな時間か。メール便のバイトの時間だ。」
「よし、ここでおいとまするか。俺が払うよ。おーい、ジュン、置い
ていくぜ。ごちそうさま。」
「あら、もう行くの?気をつけてね。」
奥でジュンの声がした。
2人は立ち上がり、店を後にした。

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超バードミサイル
2013-08-23 Fri 16:59


コンドルのジョーの好物、と言われている(超)バードミサイルの特集です(爆)。
とはいえ、今回は2話ともあまりおふざけは出来ないお話ですが。

97話「明日なき宇宙船レオナ3号」

ギャラクターの仕組んだ策略により、軌道を大きく外れて地上へ火の玉となって落ちて来るレオナ3号。
博士はそれを超バードミサイルで爆破するよう指令を出します。むろん、動揺する忍者隊の諸君。そうするよう命じられた健はもう泣いて拒否。
そこでジョーがそんな健の気持ちを察してか、代わりに押す事を決意するのですが・・いくらバーキチの彼とは言え、これはやりたくないと思っているはず。
結局、やっぱり俺が、という事でジョーを突き飛ばして健が力一杯にボタンを押します。

今まで何とか観られたのに、今回はなぜか涙が。うーん、また年を重ねたか・・(爆)。



98話「球形鉄獣グレープボンバー」

公害物質をまき散らす(姿は可愛い)三葉虫型メカ、グレープボンバーを開発したメッケルを更正させるため、自ら超バードミサイルに乗り込むジョー。まあ、正しくはミサイル、というよりそれに取り付けた球形のにせ爆弾の中でしたけど。ミサイルと一緒なんて、本望だーなんて思ったかどうか知りませんが、そんな役は彼にぴったりです。考えた南部博士に座布団1枚差し上げます(たった1枚かね@博士)

そもそもなぜこんな指令を受けてしまったのかと言うと、突如発症した眩暈のために合体できなくて、みんなに迷惑を掛けた罰、という事でした。もちろん眩暈の事は知らないのですが、ジョーの話を聞いてくれなかった博士も酷い。かと言って、きっと博士はそんな個人的な事よりも大変な事件の方が気がかりですから、正直に話したところでやっぱり真剣に取り扱ってくれなかったでしょう。きっとジョーは話しても無駄だ、と思ってしまったのかもしれません。だから、ジュンが心配してきてくれた時も話せなかったのですね。

次からは怒濤の回が続きます。来てしまった、というのが今の感想です・・。



ところで・・余談ではございますが。
ネットで「バードミサイル」と検索すると、けっこうな確率で引っかかる言葉が。

実は「バードミサイル」というのは、
”鳥のフ○害攻撃”の事を言うらしいです。
「我が家ではまたいつものバードミサイルに悩まされている」とか「バードミサイルが来た!」なんて言っている人たちがいて、何でも、鳥のフ○は、強酸性で、まるでミサイルみたいに飛んで来るのでそう呼ぶらしい・・・。
通販では、それに対抗して「バードレスマット」なるものが売っているらしいです。

するとあちこちで落とされているものは、ジョーの仕業だな(笑)。
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