『俺は猫である(後編)』
2017-02-22 Wed 18:02

「ああ、諸君。よく来たね」
「博士」
猫は博士を見るなり、鳴き出した。
「ニャー!(博士!)」
博士は、ん?という顔でジュンに抱かれている猫を見下ろした。
「どうしたんだね、この猫は」
「ついて来ちゃったんですよ・・」
困ったように甚平はそう言ったが、降ろされた猫は必死に博士の足元で戯れている。
「ニャー、ニャー」
「博士に随分甘えてるなあ」
博士は改めて4人を見た。
「それより、ジョーはどうした」
「それが・・」
「あいつ、とうとう返事よこさなかったな」
「寝てんのとちゃうか?」
「竜じゃあるまいし」
「ふんっ」
「ニャー、ニャー」
猫は博士の脚を前足で叩く仕草をし続けた。なので、博士は猫を見下ろした。
「ん?なんだね?」
そう言ってじっと博士は猫を見つめた。
「・・・・」
なんだか猫の瞳が何かを訴えているかのようにうるうるして自分を見つめている。
(博士〜・・何とかしてください・・)
博士は考え事をしているようだったが、やがて猫を抱き上げるとこう言った。
「わかった。私がしばらく預かろう」
「え〜、何でえ?」
驚く諸君を代表して甚平が言った。
「腹を空かしているのだろうし、それにー店には置けないだろう?」
「それなら俺が預かります。なあに、猫の1匹や2匹・・」
博士は健に微笑んで答えた。
「いや、健、大丈夫だ」
「第一、兄貴、キャットフード買えんのかい?」
「・・・心外だなあ・・」
「でも博士のところだったら安心だわ。(猫に)いい子にしてるのよ、猫ちゃん」
そう言ってジュンは猫の頭を撫でたが、猫は困った顔をしているようだった。誰も気づかなかったが。


博士からの連絡が済むと忍者隊はそれぞれ帰って行った。そして猫だけ残された。
博士はしばらく窓際で何かを考えていたが、振り向いてソファの上でじっとしている猫に視線を遣った。
「そこが落ち着くのかね?」
猫は博士を見た。
「かつて一緒に暮らしていた子供たちがよく遊んでいた場所だ」
そして彼はじっと自分を見上げている猫にこう言った。
「一緒においで。退屈だろう」
博士は猫を抱くと部屋を出た。
しばらくしてある扉を開け、地下へと続く階段を下り始めた。
「これを見るのは君だけだぞ」
扉を開けると博士は猫を下ろした。そこは大きな部屋、いや体育館か何かの会場のようなスペースで、金属を叩く音や溶接する時の火花のスパーク音があちこちで聞こえる。
「ここはバードミサイルの製造工場だ。こうして使用されるたびに造っている」
猫はじっとその様子を見つめた。しかも興味津々だ。
「これを造るのには様々な工程があり、オートメーション化された部分と人の手で行なわれている。もちろん武器として使われるのは仕方ないことだが、その裏には技術者たちの英知、そして努力がある」
博士は猫に視線を向けた。すると猫はうずくまり、そっと博士の顔を伺うように見上げた。
博士は笑った。
「咎めているのではない。確認したかったのだ」
博士は猫を抱き上げた。
「それじゃ行こう。もどに戻す薬もあるはずだ」
そしてドアを開けて出て行った。


博士は窓から外を眺めていた。そして彼の隣では研究員が立っていた。先ほどまで小さくなっていたのだが、結果オーライとなったのか普通にしていた。
「・・ところで、今度は何の研究をしていたのだね」
「実は・・動物の生態をより深く理解するためにどうしたらいいかと話し合ってた時、その動物の気持ちになってみるといいかもしれないとの意見がありまして・・まあ、冗談だったんですが、いっそ動物に変身してしまったら面白いんじゃないかと・・」
「それは思い通りの動物になれるのかね?」
「そうですね・・・。多分、その人にとって一番身近で大切に思っている生物になる、という感じでしょうかね」
博士は視線を戻した。
「・・・なるほど。わかったよ。それでか」
そして続けた。
「ああ、君。自分のものはちゃんと持って帰ってくれよ。そうでないと、私の部下が何かしでかしてしまうからね」
「はい、すみません」


森の木々の中にそのトレーラーハウスがあった。今日はとてもいい天気だ。ジョーはホースの水を周りの草花たちに撒いていた。
「ニャ〜」
そこへルナがやってきて彼の脚に体をこすりつけ、甘える仕草をした。
「なんだ、ルナ。もう腹減ったのか?」
しかしルナは甘えるばかりでそんなそぶりもない。
「なんだ、違うのか?おい、そうひっ掻くなって。分かったよ」
ジョーはルナを抱き上げた。そして甘える彼女を優しく撫で、ホースを片付けてトレーラーハウスの中へ入っていった。



       ー  終わりにゃ♪ ー


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この記事のコメント
淳さんへ
こんばんは^^
続けてのご感想ありがとうございます!

>どんな顔して


本当にねー。普通の猫ちゃんだったら知らん顔していると思うけけど、ジョーはやっぱりジョーなわけで。
「これは俺が撃つやつだぜ!誰にも触らせないぜ!」
・・悲しいかな、博士にはにゃあにゃあとしか聞こえない・・・。
きっとお魚を見たときみたいに目をキランキランさせてます(爆)


>服を着ていたの?

博士なら知っているかも・・・
羽根手裏剣が飛んでこないうちに聞きに行こう!


>2

そうだ、4は2の倍だぞ!

・・だから?(これ)

意味不明・・・沈没・・・(ゴボゴボ)



2017-02-27 Mon 23:01 | URL | kisara #X.Av9vec[ 内容変更]
>確認したかった
製造工場を見せてジョーと確信するなんて・・・どれだけミサイル好きなの?ジョー。
どんな顔をして見ていたんだろう。

というか博士がすごいのかな。

ところでジョーが人の姿に戻った時はちゃんと服を着ていたの?(こらあ!)



  ジンペイ始まりなんて言ったら、4がいっぱい!のキーワード
  で、2が挟まれている (^.^)



2017-02-27 Mon 14:42 | URL | 朝倉 淳 #vDtZmC8A[ 内容変更]
キョーコさんへ
こんばんは〜^^

感想ありがとうございます。

>「甚平から始まるお話」

甚平は入り口になりやすいのかなあ?
お?何か起きるのかな?とか。

>ジョーが猫になる

前はルナと冒険したから、今度は本人になってもらおうということで。
でもジョーが猫になったらそれこそ山猫に・・・(爆)


>毒入りのカンノーロ

ジョーも危ないですなあ。カテリーナさんが作ってそうです。
子供は甘いもの好きだからね。
でも苦手のようなので・・


>絵チャ

それは朗報ですね!
それとぺたるさんが復帰されるとは。
でも・・私はあそこだとうまく描けないので、ぺたるさんの絵で堪能したいですわ。


2017-02-23 Thu 21:52 | URL | kisara #X.Av9vec[ 内容変更]
聖さんへ
こんばんは^^
ありがとうございます。

>「猫の日」

どうも私はジョー×猫の日、という風に書かなければならないようです(笑)
猫を絡めるとそっちに気をとられるからいいよね〜←こら


>ジョーの第一声

さて、何だったのでしょうね〜
私も知りたいわ^^
「あ?どうなってるにゃ?」
なんてね。

これからも邁進します、どうぞよろしくお願いしますね。
また遊びにいらしてくださいね。

2017-02-23 Thu 21:24 | URL | kisara #X.Av9vec[ 内容変更]
今回はお互いに「甚平から始まるお話」(←淳さん談)でしたね(笑)

本編でネコといえば逃げ足の速い山猫ことベルクカッツェと言うことになりますが、ジョーが猫になるというまさかの展開に最後まで一気に読ませていただきました。

ゴッドファーザーで甘いものに目がないマフィアが毒入りのカンノーロを食べて命を落とす場面がありましたが、ジョーはどうやら元に戻ってよかったです←当然です!

そうそう、もうご存知かと思いますがぺたるさんのところで絵チャが再開されるのですね。
また楽しみが増えて嬉しい限りですね~♪
2017-02-23 Thu 15:49 | URL | キョーコ #/5lgbLzc[ 内容変更]
kisaraさん、おはようございます。
お久し振りで申し訳ありません。

昨日は「猫の日」だったので、それに引っ掛けられたんだな~と思いました。
猫はジョーだとすぐに解りましたが、苦手な甘い菓子を彼は食べたのですね~。
それがまさかこんな効用があるとは。(^_^;
博士もすぐにジョーが猫の姿になったのだと気づかれましたね。
さすがは博士です。
元に戻った時のジョーの第一声が気になる処ではありますが、前後編の話は読み応えがありました。
いつもいろいろな工夫をされて、楽しい「読まれるブログ」を運営されていて羨ましいです。
これからも頑張って下さいね。
2017-02-23 Thu 08:56 | URL | 真木野聖 #iarYaaiU[ 内容変更]
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