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『イースターエッグ』
2018-04-01 Sun 16:24

健は博士の書斎のドアを叩いた。
返事はない。が、彼はドアを開けて中へ入った。
やはり誰もいない。

「あれ、ジョーがいたと思ったけど」

健はジョーがいたと思われる机に近づくと、あれと思った。
そこには2個卵があったのだ。

「なんだろう、この卵。ジョー、また勝手に台所から持ってきちゃったのかな」

ジョーは来た当初よりは収まったものの、この別宅ではかなり好き放題にやっているという話だ。
そして今度は健がやってきたということでいたずらがまた増えた。
おそらく一人でわがままできたのに、もう一人いるんじゃ相手にしてくれない。ジョーは多分健にライバル意識を持っているに違いないが、健もそして本人もそれに気づかないでいた。

それにしても・・

ぐぐぐぐ〜っ

「お腹すいたなあ」

健はお腹を押さえ、その卵に手を伸ばした。ゆで卵のようだ。
どうしよう。

しかしその次の瞬間には殻を向き、むしゃむしゃと食べ始めてしまった。塩気が欲しい感じだったが、お腹が空いている彼はそれはどうでもよかった。

でも、と健はふと机上の物に気づいた。
そこにはクレパスと何色か揃ったサインペンのセット。

あ。これってもしかしてー

そこへドアが開いてジョーが入ってきた。

「うっ、う・・」

健はあまりの出来事に胸を叩いた。黄身が喉に引っ掛かりそうになったのだ。

「・・・・」

まずい、ジョーの奴、俺を見てるぞ。卵を食べたな、そんな顔つきだ。

ジョーはつかつかと歩いてきた。何をする気だ。俺を叩くのか。よし、もしそうなら俺もー

と、ジョーはもう一個をつかみ、同じように殻をむいて食べ始めた。
「・・ふん、半熟だ。これじゃイースターエッグに向いてない」

そして彼は健の殻も集めて紙に包んだ。
「またもらってこよう。お前も描くだろ、絵」
「う、うん・・・」

ジョーは部屋を出て行った。
健はほうっと息を吐いた。


「おばちゃん、卵半熟だったよ。もっとかた茹でにして」
「あらまあ、坊ちゃん、食べちゃったの?」
「うん。お腹すいたんだ」

その後新しい卵に2人は思い思いの絵を描いた。
そしてそれは博士の書斎の机にあるカゴに並べられた。

新しい年が素敵になりますように。
そんな願いを込めて。



                     ー 完 ー

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