『満天の空の下で』
2014-02-02 Sun 15:57
ISOにその連絡が入ったのはある日の夕刻だった。
1千万ドルと引き換えにギャラクター本部のありかを教える、とある女性からだったのだ。
ISOはその情報が信用できるかどうかを調べ、それが事実らしいと突き止めると、南部博士は
科学忍者隊をさっそく指定の場所へと派遣した。
 
連絡してきた女性は、アフリカで行われる5日間の耐久ラリーに出場するというので、忍者隊
を乗せたゴッドフェニックスはそこへ降り立った。
ラリーに出場することなので、ジョーがその女性と共にし、残りの4人はゴッドフェニックスで
上空から彼らを護衛することになった。
 
その女性はルシーと言う名で、元ギャラクターの幹部ということだった。
ジョーは彼女に会うのは初めてではない気がした。昔彼の父が友人だと言って一人の女性を
紹介してくれたのだ。そのときジョーはまだ子供だったのでただのパパの知り合い、としか思わ
なかったのだが、その女性が何をしていたのかは特に知らされていなかった。
その女性があのギャラクターに?
ジョーはなぜ彼女が裏切って本部を教えると言ってきたのだろうと思った。
久しぶりに会った彼女はあの時もだいぶお姉さんに見えたのだが、今でもずっと年上の女性に
見えた。
ラリーの間、ルシーはジョーと行動を共にしたが、やがて彼女は本当の目的を彼に告げた。
実はギャラクターを裏切り、自分が組織を乗っ取ってやるのだと。そのためには、科学忍者隊
にベルク・カッツェや総裁を倒して欲しい。そしてあわよくば、彼に手伝ってほしいとも言った。
 
 
ジョーは休憩を兼ねたほんの時間に外へ出て深呼吸をした。実際、ずっと彼女といるとなんだか
時間に追われて息をするのも忘れてしまいそうに思えた。
(あれだけ強くなけりゃ、あんなところにいられないだろうからなあ)
彼はふと空を見上げた。そしてじっとそれを見つめた。
やがてルシーがやってきた。突然ジョーがどこかへいってしまったので、探していたのだ。
そして彼女は、車のボンネットの上に寝そべって上空を眺めている彼を見つけ、近くへやってきた。
「何してるのよ、ジョー。」
ジョーは彼女を見ずにそのままの姿勢で言った。
「星が綺麗だぜ。君も見ろよ。」
「星?」ルシーは笑った。「面白いことを言うのね。」
「そうか?」
「だって、あなたのような人がそんなロマンチックな事を言うなんて。」
「俺はだた綺麗だって言っただけだぜ。」
「そう。でも少しだけよ。時間がないんだから。」
「・・・・やれやれ。」
しばらく2人は星空を見ていたが、やがてジョーが口を開いた。
「ルシー。ギャラクターを乗っ取るって言ってたな。いったいどうしようっていうんだ?」
「あいつらはもっと使える筈よ。カッツェや総裁じゃダメ。私はもっと頭を使うわ。カッツェのような
へまは絶対やらない。」
「立派だな。だが、なぜ俺を誘おうとする?」
「当然でしょ、だってあなたはギャラクターのー」
「え?」
ルシーは口をつぐんだ。
「(・・・ジョーはまだ知らないのね)・・いいえ。なんでもないわ。」
彼女はちらとジョーの横顔を見た。
(きっと今にわかるわ。)
「しかし、報酬の1千万を持ってすんなり逃げられるかね。相手はギャラクターだぜ。」
「やるわ。言ったでしょ、私はへまはしないって。」
ジョーは笑った。
「たいした自信だぜ。分かったよ、君ならうまくいくだろうな。そして俺たちはギャラクター本部を
叩けるってことだ。」
「そうよ。そのためには優勝する必要があるの。きっとやってやる。」
「俺もあいつらが憎いからな。あいつらをやっつけられるのならなんでもやるぜ。言っておくが、
これは俺だけのためにやるからな。」
「ええ、もちろん。私は私だけの利益のためにやるだけよ。」
「なあ、綺麗だろ。」
「そうね。」
「良かった。さっき”ロマンチックな事”だって言ってただろ。少しそんな気持ちがあるって事は
あんな所にまだ全部心を売っちまってないって事だからな。」
ルシーはふふんと笑った。
「・・・まだ人の心があるって言いたいの?」
ジョーは車から飛び降りた。
「行くわよ。」
「わかった。」
2人は車に乗り込んだ。
そして再び、彼らを乗せて砂埃を巻き上げ、加速をつけて走り去った。
また過酷なラリーが再開されたのである。
 
そんな車を見守るように、夜空の星たちが瞬いた。

コメント

こんにちは。風邪で寝込んでいて(現在進行形)、お邪魔が遅れました。
ルシーとの出逢いの話に決着をつけてらっしゃる!
凄い!感嘆しました。
子供の頃、お父さんに引き合わされていたのですね。
それなら話が通りますね。
此処の部分はフィク書きを悩ませる部分で、私は手を付けていなかったのですが、唸りました!
また体調の良い時にゆっくり拝読してみます。




2014/2/3(月) 午後 1:14


こんばんは、minakoさん。

具合はいかがですか?天候が定まりませんからね・・・。
私はというと、どういうわけかすごぶる元気です(爆)
(私よりSafariが不調・・。これもやっと4回目です)

>お父さんに引き合わされて

ジョーの年を考えるとルシーも少女、となりますけどね。
彼が8歳の小学2年生で、ルシーは中学生の12、3歳かなー、なんて。
やっぱり親同士がギャラクター幹部で知り合いだったのかなとか。

でもやはり難しいテーマですね。私はもうちょっと掘り下げたかったです。

[ kisara ]


2014/2/3(月) 午後 8:11


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